『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

2016/09/17 Hulu

フランクが次々と犯す詐欺行為は全部派手で華やかでかっこよくてスマートなのに、流れてるBGMも明るい曲なのに、それに反して彼を見ていると痛々しくて、悲しい気持ちになる。

生まれが幸せいっぱいの家庭だったからこそ、それが壊れたことを受け入れられない16歳のフランク。どんなに賢くて大胆不敵でも、守ってくれる大人を必要とする子供だってことをよく描写してある、この映画好き。本人の自叙伝ではもっと彼の詐欺のトリックにフォーカスして書いてあるらしいけど、だから映画よりすごいって言う人もいるけど、わたしはきっと映画の方が好き。フランクがどういう心理で次々と詐欺をしていったか、彼が本当に求めていたものは何か、そして時間とともに変化していく彼の若い感情を追うことができるのが嬉しい。

でもやっぱり映画の一番の魅力はレオナルド・ディカプリオ。これを言ってしまえばおしまいかもしれないし、できれば認めたくない。でもレオ様は女子をあまりに引きつけすぎる。彼のいったい何がこうさせるのかわからないけれど、フランクの人生の刹那さ、儚さが、レオ様にぴったり。前髪を作ると幸せな家庭の高校生、オールバックにすると28歳のドクターにも見えるし、長髪のレオ様は大人びててちょっとやさぐれててはぁ素敵。ブレンダとベッドにいるときはすごくたくましい上半身なのに、最後フランスで小切手を印刷してたときのタンクトップ姿は本当に10代の少年に見える。彼の表情も、戦略を考えたり誰かを説得したりするときは大人なのに、お父さんと話してるときとか、弱ったときに少年の顔になるところに胸がぎゅーっとなってしまう。とくにお母さんの新しい家庭を外から覗くシーン。長髪のレオ様なのにこの少年さは何??この当時すでにレオ様は20代後半なのになんで???単純に童顔なの・・・?

フランクの詐欺行為は相当な知能と創造力を必要とするものばかりだから、彼はほかのどんな仕事でも大成できたのに、ってきっとみんな思う。でも詐欺師は生まれながらにして詐欺師なのかもしれない。だって彼が転校先の高校で代理教師のフリを1週間も続ける意味なんて全然ない。でもたぶん、ふとやってしまったんだ。同じように、小切手偽装もしたんだ。ドクターも、弁護士も。そういう性分が生まれながらにしてあるから詐欺を続けるしかなかったんだ。警察に追われるのはもう嫌だった、だからずっとやめたかったと思う。でも彼が詐欺をやめられなかったのは、もしかしたら捕まらないためだけじゃないのかも。だから、最後もまたパイロットに戻った。

最初牢獄に入れられててアメリカに送還されるシーンから始まったから、彼が犯す華やかな詐欺生活も、その後の結末を思うと見ていてつらかったけど、まさかそのあともストーリーが続くなんて嬉しい誤算。最後の逃走のあとは、もう戻ってこないんだって思った。でもまさか、彼がニール・キャフリーだったとは。そういえばポスターのデザインもホワイト・カラーに似てる。ずっとフランクに寄り添って見れる映画だった。間違いなくお気に入りの映画のひとつ。